NTT、明治安田、丸紅新電力がJリーグの気候アクションパートナーに。ビジネスとサッカーが団結して気候変動に立ち向かう

 プロサッカークラブと企業が提携する場合の多くがスポンサー契約となり、クラブはお金を貰う代わりにユニフォームやスタジアム等に広告を掲載します。

 企業名や製品をアピールするのではなく、気候変動の対策に向けて通信、生命保険、電力企業がJリーグとタッグを組み、アクションを開始しました。

 NTT、明治安田生命保険、丸紅新電力は2023年7月、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が5月に新設したパートナーカテゴリー「Jリーグ気候アクションパートナー」のパートナー契約を締結したことを発表しました。

 Jリーグ気候アクションパートナーでは、JリーグやJクラブが行う気候アクションの推進、気候変動対策への興味関心の喚起・増加、人々の日々の行動変容に対して影響を与えることを目標に、協働できるパートナーを募っています。

 Jリーグは2021年6月、環境省と地域社会の環境・経済・社会の持続可能性の向上に向けて、包括的な連携協定を発表しています。

 お互いの知見を共有し、強みを活用することで、地域の行政や企業、金融機関、市民団体、大学・学校、サポーター、Jリーグの各クラブなど、多様な関係者と調整・連携し、取り組みを進化させてきました。

 今回、Jリーグは環境省との連携協定2周年イベントを開催し、その中でJリーグ気候アクションパートナーが発表されました。


 パートナー契約を行ったNTTは、NTTが持つテクノロジーを活用して、ファン・サポーター、市民が気候アクションに参加しやすく継続しやすいシステムをつくる取り組みを開始します。

 NTTは 2023年5月に新中期戦略の考え方として、「NTTは挑戦し続けます、新たな価値創造と地球のサステナビリティのために」を掲げました。2017年から「Jリーグオフィシャルテクノロジーパートナー」を契約しており、今回パートナーシップの契約カテゴリーを増やしました。

 今回の取り組みをJクラブと各地域に展開することで、気候変動対策に関する人々の日々の行動の変化を実現し、地域活性化を目指します。JリーグとNTTグループの協働プロジェクト「TH!NK THE BALL PROJECT」も発足しました。

 TH!NK THE BALL PROJECTでは、ファン・サポーターの環境アクションを記録できるアプリを開発しました。

 行動した結果を記録すると、自分が応援するクラブの活動量として集計され、クラブからの返礼品がもらえる仕組みとなっています。

 アプリは、NTTデータが所有する市民参加型まちづくりアプリ「みんスマ」を活用します。このアプリは2023年9月にリリースされました。

 明治安田生命は、神奈川県と山梨県の森林でのアクションで協力します。

 こども向けの環境勉強会、自治体との意見交換、Jクラブ、ファン・サポーターを交えたイベントを行い、各地域に住む人々に気候変動対策の必要性を知ってもらうきっかけづくりを行う計画です。

 同社は「ひとに健康を、まちに元気を」をビジョンに掲げ、2015年にはJ1、J2、J3の全リーグカテゴリーのタイトルパートナーとなっています。

 NTTと明治安田生命が、Jリーグの既存のパートナーとして今回新たに契約カテゴリーを増やしたのに対し、丸紅新電力は新規でのパートナーとなりました。

 親会社である丸紅の中期経営戦略では「グリーンのトップランナー」を目指すことが掲げられ、丸紅新電力もその方針に則り今回のパートナー締結に繋がっています。

 同社が保有する石油や石炭などの化石燃料を使っていない「非化石電源」で発電された電気が持つ「非化石価値」を取り出し、証書にして売買する制度「FIT非化石証書」をJリーグに提供します。

 これにより2023年2月から6月に開催されたJリーグの公式戦約600試合の電力使用により発生した二酸化炭素排出量のカーボン・オフセット(※)に活用します。

 Jリーグは、2023年シーズンの公式戦開催時のスコープ1(※)とスコープ2(※)を全量オフセットすることを宣言しています。将来的にはスコープ3(※)を含めたカーボンニュートラルを目指しており、丸紅新電力とのパートナーシップによりアクションを加速させることができます。


 今回の事例のように、スポンサーとなる企業が目指すビジョンとスポーツ団体のビジョンが一致し協力することで、お互いの強みを活かしながら社会課題の解決を目指すことが可能です。今後もスポンサーからのスポーツ団体への期待は高まっていくと考えられます。


※カーボン・オフセット:日常生活や経済活動において避けることができない二酸化炭素の排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行います。それでも排出される二酸化炭素について、排出量に見合った二酸化炭素排出量の削減活動に投資すること等により、排出される二酸化炭素排出量を埋め合わせるという考え方。

※スコープ1,2,3:製品が製造されてから廃棄されるまでに排出される二酸化炭素を分類したもの。スコープ1は自社の活動によって直接排出されるもの。スコープ2は他社から提供された電気、熱等を利用することで間接的に排出されるもの。スコープ3は原材料の加工・調達や販売後に排出されるもの。

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