スポーツ庁の令和4年度の世論調査では、プロ野球が直接現地で観戦したスポーツ種目で一位に輝いています。昔から多くのファンを湧かせてきたプロ野球でも持続可能な社会に向けた取り組みが徐々に拡大しています。
日本のプロ野球リーグであるパシフィック・リーグ（パ・リーグ）に所属する楽天イーグルスの活動の紹介です。環境・社会・地域の3つのテーマを軸に、社会課題解決に取り組んでいます。
環境
環境に配慮した試合運営およびスタジアム運営を行うため、RENEWABEL（再生）、RECYCLE（リサイクル）、REDUCE（減らす）の3つのテーマを設定し取り組みを行っています。
特に、再生テーマでは、2022年4月から自社の活動で利用する電力をすべて100%再生可能エネルギーに変更しました。
電力使用による二酸化炭素排出量が削減され、年間約2,600t、2021年と比較して約90%の二酸化炭素が削減されたとのことです。
今後もホームスタジアムである楽天モバイルパーク宮城の敷地内の二酸化炭素排出量の実態把握や削減プランを設定し、設備の省エネ化や、照明のLED化等、電力利用の効率化を進め、さらなる二酸化炭素排出量の削減を目指すと報告しています。
その他スタジアム内の活動として、ビールカップは原料の50%をリサイクル素材に変更しました。ストローは原料の25%をバイオマス素材に、スプーンとフォークは原料の10%をコーヒーバイオマス素材に変更しました。
スタジアム内のフードロス対策として、食品廃棄物の抑制を目指すとともに、生ゴミを肥料化するリサイクル処理も行っています。
また、ビジターゲームで移動時に発生する二酸化炭素排出量を東北地域由来のJ-クレジット（※）を活用して、カーボン・オフセット（※）する取り組みを実施しています。
※J-クレジット：二酸化炭素排出の削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。二酸化炭素を減らすことが苦手な企業と得意な企業同士が売買することが可能です。
※カーボン・オフセット：日常生活や経済活動において避けることができない二酸化炭素の排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行います。それでも排出される二酸化炭素について、排出量に見合った二酸化炭素排出量の削減活動に投資すること等で、排出される二酸化炭素排出量を埋め合わせるという考え方。
社会
スタジアム内にバリアフリートイレや車椅子席等を設置し、高齢者や障害者が観戦しやすいよう配慮した取り組みを展開しています。また、選手がホームランを記録した試合数と同じ台数の車椅子を、東北各地の病院や施設に寄贈する活動を行っています。
また、楽天グループサステナブル調達インストラクションに基づき調査を実施しています。このインストラクションは、楽天グループ全体で設定されている持続可能な社会の実現に向けたあり方を示しており、楽天グループだけではなく、楽天グループと関わるサプライヤーと共に実践を目指すためのものとなっています。
グッズ等の大口取引先を中心に、サプライヤーの実態調査を実施しており、課題の発見やサプライヤーの活動の改善を行います。
地域
経済面、環境面で困難を抱える子どもたちに対してスポーツの観点から支援を行い、誰でもスポーツにアクセスできる環境作りを行っています。
具体的には、スポーツ教室等を通してスポーツをする機会を、野球観戦招待等を行いスポーツを見る機会を提供しています。
また、球団が運営する楽天イーグルスアカデミーに経済的な理由で通えない生徒に対しての支援も行っており、子どもたちがスポーツ楽しむ機会を提供しています。
2014年には、2011年の東日本大震災以降に子どもたちが屋外で遊ぶ機会が減り運動不足になっているという地域住民の声を受け、TOHOKU SMILE PROJECTという任意団体を設立しました。
このプロジェクトでは法人や個人からの寄付金を、子供達が自由に運動できるスペースとして東北各地へ寄贈する活動を行っています。
その他、自治体や商工会議所、商店街と協力し地域の課題解決に関する取り組みも推進しています。地元の伝統工芸品、地元食材とのコラボレーションを行い、地元を盛り上げる取り組みを積極的に展開しています。
楽天のようなプロ野球チームのオーナー企業は、より持続可能な企業経営が求められているため、プロ野球チームに対しても同様の取り組みが開始されています。
プロ野球チーム単体での取り組みだけではなく、地元企業、取引先企業等と協力し、活動の幅を広げていくことが求められています。